「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」では、プロが目利きした米国高利回り公社債が運用されています。株式や不動産に匹敵するリターン率を誇り、運用コストの安さ&独特の運用方針も魅力的です。
一方で、ハイイールド債ならではのリスクも見逃せません。ファンドの特徴やコストを紹介し、運用実績を徹底分析します。
フィデリティ・USハイ・イールドFの特徴・運用実績
「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(以下、米国ハイイールドF)」は、米ドル建ての高利回り事業債を中心に運用するアクティブ型投資信託です。
投資対象であるハイイールド債(格付け会社などで信用格付けBB以下の低い評価を受けている公社債)には、利回り6~8%と債券としては異例の高利回りを誇るものも少なくありません。ドル円の為替変動の影響は受けるものの、堅調に右肩上がりを続けているのも魅力的です。
画像引用:フィデリティ投信マーケットレポート/米国ハイ・イールド債券市場(リンク)
そうしたハイイールド債と呼ばれる債権のほかに、ナスダックやNYSE上場の株式・コールローン等も組入れ、リスクを軽減した運用が行われています。
フィデリティ・USハイ・イールドFの基本情報(2019年5月23日時点) | |
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純資産額 | 630,926百万円 |
基準価格 | 3,273円 |
決算回数/年 | 毎月22日決算(毎月分配金あり) |
投資先の種類(カテゴリー) | 国際債券・ハイイールド債(F) |
ベンチマーク | バンクオブアメリカ・メリルリンチ・USハイ・イールド・コンストレインド・インデックス(円換算) |
主な組入銘柄(カッコ内は格付) | CCOホールディングス/キャピタル(BB)、アリー LLC(BB)、スプリント・キャピタル・コーポレーション(B)、など多数 |
リスクメジャー | 3(平均的) |
販売ランキング | SBI証券:149位
楽天証券:198位 |
フィデリティ投信の運用する米国ハイイールドFには、為替ヘッジ有無/年間決算回数ごとに4タイプ用意されています。
投資信託名にカッコ書きのない「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」は、為替ヘッジなし/年12回決算(毎月分配型)で運用されています。
運用コストの評価
同タイプの投資信託のなかでは唯一ファミリーファンド方式で運用されているため、信託報酬は最安クラスです。ファンド購入時手数料は高額ですが、証券会社ごとに用意されているキャッシュバックorポイントバック制度を利用することで節約可能です。
フィデリティ・USハイ・イールドFの基本情報(2019年5月23日時点) | |
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購入時手数料 | 3.00% |
信託報酬 | 1.58% |
信託財産留保額 | 0% |
その他運用中にかかるコスト(実費) | 売買委託手数料:年率0.2~0.3%
監査費用等の諸費用:年率0.10%(上限) |
実質運用コスト | 年率1.88%程度 |
※すべて税抜表記
資産構成比
組入銘柄の格付別比率では、BB/Ba~Bがおよそ80%を占めます。業種別ではエネルギー関連の公社債が多く、次いで金融・投資関連が挙がっています。
過度にリスクはとらず、需給バランスが常に安定する業界だけを選んでいることが分かります。
引用:2019年5月運用レポート(リンク)
上位組入銘柄には、倒産寸前から復活した旧GAMC(ゼネラルモーターズの金融子会社)・サブプライムローン問題による経営難から再起を図っているシティグループなどが並びます。近年になって勢いづいた新興企業ではなく、歴史とビジョンのある公社債が重点的に組み入れられていることが分かります。
運用実績の分析
直近では、利下げリスクや国際情勢による円高傾向が、純資産額&騰落率マイナスに反映されています。一方で、6ヵ月以上運用時のトータルリターン・1年以上運用したときのシャープレシオは、国際債券カテゴリー内で良好な数値です。
「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」の運用実績(2019年6月基準) | |||
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運用期間 | 騰落率 | シャープレシオ | トータルリターン |
1ヵ月 | -2.49% | ― | -3.31% |
3ヶ月 | -4.23% | ー | ― |
6ヶ月 | -2.16% | ー | 1.15% |
1年 | -8.14% | 0.46 | 4.67% |
3年 | -16.99% | 0.57 | 5.74% |
5年 | -39.71% | 0.50 | 5.23% |
騰落率:基準価額の変動率
トータルリターン:運用資金に対する総合収益(売却益+分配金)の割合
シャープレシオ:リスクに対する運用効率(値が大きいほど運用効率がいい)
2019年6月のFOMCでは年内利下げの可能性が示唆されており、円高傾向はますます強まると考えられます。本投資信託と2017年に設定された「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(為替ヘッジ有)」を比較したところ、実績にそれほど大きな差は見られません。
為替ヘッジ有りのものも含め、今後の国際情勢を伺いながら慎重に検討しましょう。
フィデリティ・USハイ・イールドFが向いている人
フィデリティ・USハイ・イールドファンドは、運用資産の特性上、比較的リスクの高い投資信託です。為替変動や国際情勢の変化には強いものの、投資対象のデフォルト・金融危機・経営不振による配当減が利回りを直撃する懸念があります。
とはいえ、ハイイールド債だからといって過度に警戒する必要はありません。過去の経営不振からの信頼回復に努めている企業・一定のブランド力を持つ企業といった成長性に裏付けのある公社債が積極的に組み入れられており、投資初心者でも利益重視型の運用が出来るファンドです。
「フィデリティ・USハイ・イールドファンド」が向く人
- 元本割れリスクを抑えながらリターンもしっかり確保したい人
- 公社債に関する知識がなく、手を出しづらいと感じている人
- 資産ポートフォリオを低リスク型→利益重視型にシフトしたい人
購入できる証券会社
「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」は購入時手数料が高額に及びます。下記人気ネット証券で買付を行えば、それぞれ独自の制度で還元を受けることができますよ。
「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」が購入できる証券会社 | |||
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証券会社名 | 最低購入金額 | 積立買付 | 購入時手数料の優遇 |
SBI証券 | 100円 | 〇 | 積立買付なら実質無料(全額キャッシュバック) |
楽天証券 | 100円 | 〇 | 積立買付なら実質無料(全額ポイントバック) |
GMOクリック証券 | 100円 | 〇 | なし |
松井証券 | 100円 | 〇 | 買付方法に関わらず実質無料(全額ポイントバック) |
マネックス証券 | 100円 | 〇 | 積立買付なら実質無料(全額ポイントバック) |
SBI証券・楽天証券なら、それぞれ約2,600の投資信託ファンドのなかから他の投資先を探せます。
グループ傘下のネット銀行と証券口座を連携させておけば「ATM入出金手数料&振込手数料の月間無料回数アップ」「ポイント還元率アップ(楽天証券のみ)」といったメリットがありますよ。
口座未開設でも取扱いファンドの一覧と詳細を確認できるので、これから資産運用を始める予定の人も早速チェックしてみましょう。
まとめ
高利回り公社債を運用する「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」では、ブランド力と確かな成長性を重視した選定基準をもとに組入銘柄が決められています。信託報酬も同ジャンルにおいて最低水準で、投資信託初心者でも気軽に始められますよ。
ただし、購入時手数料が高い・デフォルトや経営不振による配当減リスクが大きいというデメリットも存在します。格付けの高い公社債や国内インデックス型ファンドも組み合わせ、元本割れをなるべく回避することを意識しましょう。
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