投資信託をはじめてみたいと考えたとき、最初に悩むの「どこで取引するか」という点ではないでしょうか。
銀行や保険会社でも投信商品の取扱いはありますが、最もおすすめなのは無店舗型の証券会社である「ネット証券」に口座開設することです。
投資信託におすすめの証券会社5社とともに、証券会社のメリットと業態ごとの特徴・口座開設先の選び方も紹介します。
投資信託はどこで買える?投信が買える場所
投資信託は、証券会社・銀行・保険会社・郵便局(ゆうちょ銀行)といった様々な場所で購入できます。
販売窓口によってサポート内容や販売銘柄が異なるため、よく吟味して自分の資産運用スタイルにあった購入窓口を選ぶ必要があります。
購入窓口は銀行や郵便局よりも「証券会社」がおすすめ
投資に特化した企業である「証券会社」なら、いずれも1社あたり数百件以上の投信商品から選べます。
NISA口座を活用する場合、投資先を広げることで非課税枠を有効活用できるのもメリットです。
証券会社のメリット
- 投資信託の取扱い本数が豊富(1社あたり100~1,300件)
- NISA口座で株式&ETFも取引できる(他金融機関だと投資信託のみ)
- 投資サポートツール&ニュースが豊富
チャートを見ながら金融アナリストの分析や市場ニュースに目を通したり、初心者向けの情報がつまった投資講座やセミナーを受講できたりすることも、証券会社ならではの強みです。
ネット証券と対面型証券の違い
証券会社の業態を大別すると、店舗窓口&電話取引がメインの「対面型証券」・店舗がなくネット&アプリ取引がメインの「ネット証券」の2種類があります。
各種手数料や取引の手軽さといった面で優れているのは、ネット証券です。
ネット証券・対面型証券の違い | ||
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特徴 | ネット証券 | 対面証券 |
取引チャネル | インターネット
専用アプリ |
店頭窓口
電話 ※一部企業のみ、取引内容を制限した上でネット取引に対応。 |
サポート体制 | 個別の資産運用サポートや担当者制には対応していない。
(提供されている情報やツールを活用して投資判断する) |
店頭窓口や電話で、個別に資産運用サポートが得られる。
口座種別により担当者がつく。 |
投資信託の取扱本数 | 多い(100~1,300本) | 少ない(100~800本) |
入出金方法 | 即時入金サービスなど多数の方法に対応。
提携金融機関も豊富。 |
原則として銀行振込のみ。
提携金融機関が少なく、入出金手数料がかさむ |
各種取引手数料 | 安い | 高い |
口座管理料 | 無料であることがほとんど | 原則有料 |
ネット証券は担当者による対面サポートが受けられない分、手数料が安く・どこにいてもスマホで簡単に取引できるのが特徴です。
近年ではAIによるポートフォリオ提案サービスを実施するネット証券も増えており、サポート面でも対面型を越えつつあります。
証券会社の選び方
投資信託をはじめるために証券会社を選ぶ際は、次の4つのポイントを押さえましょう。
証券会社を選ぶときのポイント
- 取扱い投資信託本数…ノーロードファンド数/積立投信対応数
- 投信以外の取扱い金融商品
- NISA口座で取引できる商品種類
- ポイント制度・口座連携による優遇
投資信託は国内で6,000本以上の商品数があり、証券会社1社が扱う本数は最多で1,300本程度です。このうち、購入時手数料がかからない「ノーロードファンド」はさらに限られます。
投信取扱い本数の多い証券会社を選ぶほど、投資先の選択肢が広がり・複数の銘柄買付を行うことによるリスク分散も実現します。ほかの金融商品や独自の優遇制度を組み合わせれば、さらに投資効率が上がります。
以降では、こうした視点からネット証券・対面型証券をそれぞれ紹介します。
証券会社の投資信託取扱い本数一覧 | ||||
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証券会社 | 投信本数 | ノーロード本数 | 積立投信の本数 | iDeCo本数 |
SBI証券(ネット証券) | 2,666本 | 1,328本 | 2,560本 | 87本 |
楽天証券(ネット証券) | 2,665本 | 1,353本 | 2,534本 | 32本 |
マネックス証券(ネット証券) | 1,176本 | 760本 | 1,099本 | 26本 |
野村證券(対面型) | 1,086本 | 46本 | 586本 | 26本 |
SMBC日興証券(対面型) | 1,085本 | 513本 | 672本 | 20本以上 |
松井証券(ネット証券) | 805件 | 671本 | 550本以上 | 11本 |
カブドットコム証券(ネット証券) | 1,103本 | 678本 | 1,047本 | 取扱いなし |
GMOクリック証券(ネット証券) | 116本 | 61本 | 100本以上 | 取扱いなし |
投資信託におすすめの証券会社
紹介した証券会社の選び方を元に、厳選したネット証券5社を紹介します。いずれも口座開設手続きはネットで10分程度・口座管理料は無料です。
「ひとまず投資信託に関しては様子見したい」と考えている人も、先に手続きを済ませておいてもよいでしょう。
以下では、おすすめの証券会社を投資信託取扱い本数の多い順に5社紹介します。
SBI証券
投資信託の取扱い本数最多・外国の金融商品ラインナップに自信のある、初心者から上級者まで納得のネット証券です。
SBI証券のメリットは、投資信託本数の多さだけではありません。
NISA口座で10カ国以上の株が取引できるのは、他の証券会社にはない特徴です。株に興味がある・非課税枠を有効活用したいといったニーズに応えてくれる、心強い証券会社です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)も、運用コストの安さ・対象投資信託数の両面で業界トップです。2018年には加入者数業界No,1を達成し、多くの人に支持されていることがわかります。
SBI証券のメリット
- 投信取扱い本数No.1(2019年4月現在)
- NISA口座開設で一部株取引手数料無料
- iDeCoの運用管理手数料がずっと無料&対象商品数最多(87件)
- 住信SBIネット銀行口座との連携で優遇あり
NISA口座開設者には、2種類の取引手数料が無料(国内株式現物売買・海外ETF買付)になることも見逃せません。
系列銀行である「住信SBIネット銀行」の預金口座があれば、SBI証券との間で入金や振替が出来る「SBIハイブリット預金口座」を開設できます。
この口座に預金残高を反映させることで、ATM手数料・振込手数料の各無料回数が付与される「スマートプログラム」のランクが上がります。
投資信託を始めるなら最初に開設しておきたい、商品・サービスの両面でカバー力の高い証券会社です。
SBI証券の基本情報 | |
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投資信託の取扱い本数 | 2,666本
うちノーロードファンド:1,328本 つみたてNISA対応:150本 |
その他の取扱い商品 | iDeCo(個人型確定拠出年金)
日本株・外国株・債権 日経225先物・オプション FX・CFD(クリック365) 金・銀・プラチナ |
NISA口座で取引できる商品 | 投資信託
国内株・外国株 (全10カ国) 国内外のETF・ETN・REIT・単元未満株 IPO |
独自サービス | 住信SBIネット銀行との口座連携で下記優遇あり
①自動振替・買付余力自動反映サービス ②月末残高ありでスマプロランクアップ ③預金金利アップ(0.001%→0.01%) |
楽天証券
投信取扱い本数・iDeCoの運用コストの2点で、SBI証券と同じく業界トップクラスの証券会社です。NISA口座の優遇内容も同じく、2種類の取引手数料が無料(国内株式現物売買・海外ETF買付)となります。
積立による投資信託の最低買付額は、業界で最も安い水準(100円~)です。おつりを貯金箱に入れる投資信託を始められるため、投資そのものに敷居の高さを感じている人におすすめできます。
楽天銀行の「ハッピープログラム」は、ランクが高いほど預金口座利用時のポイント還元率も上がるのが独特です。
ATM利用・振込手数料の無料回数と組み合わせて、ますますお得に楽天系サービスを利用できます。
楽天証券のメリット
- 投信取り扱い数トップクラス(2019年4月現在)
- 100円/月から積立投信できる
- iDeCoの運用管理手数料がずっと無料
- 取引すると楽天スーパーポイントが貯まる
- 楽天銀行との口座連携でポイント還元率アップ&ランクアップ
SBI証券に劣る点としては、外国株と新興国債券の種類が少ない・IPO取扱いがないことの2点です。
一方で楽天系のサービスを利用する人なら、ハッピープログラムによるポイント還元を活用することでよりお得に利用できます。
楽天証券の基本情報 | |
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投資信託の取扱い本数 | 2,665本
うちノーロードファンド:1,353本 |
その他の取扱い商品 | iDeCo(個人型確定拠出年金)
日本株・外国株・債権 日経225先物・オプション FX・海外先物 金・プラチナ |
NISA口座で取引できる商品 | 投資信託
国内株・外国株 国内外のETF・ETN・REIT ※いずれも取扱中の全銘柄が対象 |
独自サービス | 楽天銀行との口座連携で下記優遇あり
①自動入出金 ②取引で楽天スーパーポイント付与 ③証券口座取引がハッピープログラムランク判定対象になる ④預金金利アップ(0.02%→0.1%) |
マネックス証券
1,000件以上の投資信託を扱うマネックス証券は、そのうち2/3以上にあたる760件がノーロードファンド(購入手数料無料)です。
NISA口座を利用する場合、その優遇は「国内株式の売買手数料・外国株の買付手数料が無料」になることだけではありません。積立で投資信託を購入した際、購入時手数料が全額キャッシュバックされる(実質全銘柄ノーローン)という太っ腹ぶりがメリットです。
つみたての最少額も業界最安の100円/月からとなっており、少額でコツコツ始めたい人にどこまでも親切な証券会社です。
マネックス証券のメリット
- ノーローンファンド中心の投信ラインナップ
- 積立投信が100円/月から可能
- NISA口座で株式取引&積立投信の一部手数料が無料になる
- iDeCoの運用管理手数料がずっと無料
- 3,000銘柄以上の米国株が取引できる
iDeCoについても高い満足度を誇り、コストだけでなく「ロボアドによる最適なポートフォリオ提案サービス」がある点も魅力的です。
マネックス証券の米国株取扱い数は業界屈指であり、NISA口座でもほぼ全銘柄の取引が出来る点にも特徴があります。
ネット証券で投資を始めるなら、SBI証券・楽天証券と並んで開設しておきたい会社のひとつです。
マネックス証券の基本情報 | |
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投資信託の取扱い本数 | 1,176本
うちノーロードファンド:760本 |
その他の取扱い商品 | iDeCo(個人型確定拠出年金)
日本株・米国株・中国株 日経225先物・オプション FX 金・プラチナ |
NISA口座で取引できる商品 | 投資信託
国内株 米国株(3,000銘柄) 中国株(ほぼ全銘柄) 国内外のETF・ETN・REIT |
独自サービス | 積立による投資信託買付なら購入手数料0円(実質全銘柄ノーロード) |
カブドットコム証券
投資信託の取扱い銘柄は、その過半数がノーローンファンドです。
外国株の取扱いはないものの、国内ETFの一部銘柄は手数料無料で取引できるのは利点です。
コストを節約しながら複数のノーローンファンドとETFを組み合わせ、着実に投資益を狙うことができます。
カブドットコム証券のメリット
- ETF一部銘柄の売買手数料が無料
- NISA口座で「プチ株」も取引できる
- じぶん銀行口座&ニコスの提携カードで優遇あり
NISA口座は、1株から購入できる「プチ株」も対応しています。
投資信託・ETFと組み合わせることで、非課税枠をむだなく上限まで使い切ることも可能です。口座連携サービスだけでなく、クレジットカード利用者への手数料キャッシュバックがある点も見逃せません。
カブドットコム証券の基本情報 | |
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投資信託の取扱い本数 | 1,103本
うちノーロードファンド:678本 |
その他の取扱い商品 | 日本株
国内ETF 日経225先物・オプション 海外先物 FX・CFD |
NISA口座で取引できる商品 | 投資信託
国内株・国内ETF プチ株 |
独自サービス | じぶん銀行口座との連携サービスあり
提携クレジットカード「kabu.comカード」発行で、取引手数料の一部がキャッシュバック |
GMOクリック証券
投資信託数はかぎられているものの、月額100円から積立で買付できる数少ない証券会社のひとつです。
NISA口座では「現物株の全取引手数料無料」という明瞭かつ太っ腹な優遇を行っており、株取引中心で投信でも資産形成したい人に向いています。
GMOクリック証券のメリット
- 積立投信が100円/月から可能
- NISA口座なら現物株取引が完全無料
- GMOあおぞらネット銀行口座からの自動振替に対応
2018年に開行した「GMOあおぞらネット銀行」との連携サービスも充実しており、預金金利の優遇率はなんと110倍に達しています。
売買注文の多い人・ネット銀行愛用者なら、積極的に口座開設することをおすすめします。
GMOクリック証券の基本情報 | |
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投資信託の取扱い本数 | 116本
うちノーローンファンド:61本 |
その他の取扱い商品 | 日本株
米国株・中国株・海外ETF(いずれもCDFのみ) 外国債券(オーストラリアのみ) 日経225先物・オプション FX 外為オプション |
NISA口座で取引できる商品 | 投資信託
国内株(現物)・国内ETF IPO |
独自サービス | GMOあおぞらネット銀行との口座連携で下記優遇あり
①買付余力の自動反映サービス ②預金金利アップ(0.001%→0.11%) |
まとめ
投資信託を購入するなら、ほかに株やETFも取引できる「証券会社」がおすすめです。
なかでも無店舗型の「ネット証券」なら、サポート重視の対面型証券会社と比べて、手数料・取引しやすさ・商品ラインナップのすべてにおいて勝っています。
系列ネット銀行との口座連携サービスや、少額からの積立投信が可能であることも見逃せません。求める投資イメージ・証券会社選びで重視している項目別におすすめの証券会社を紹介すると、次の通りです。
重視する項目 | おすすめの証券会社 |
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取扱い投資信託数&ノーローンファンド数 | SBI証券・楽天証券・マネックス証券 |
NISA口座の手数料優遇サービス | SBI証券・楽天証券・マネックス証券・GMOクリック証券 |
NISA口座で取引できる株&ETF銘柄数 | SBI証券・マネックス証券 |
株・FX取引 | マネックス証券・GMOクリック証券 |
投資信託は、長期保有が前提の金融商品です。保有中に目標がかわったり、他の金融商品も取引してみたくなったりする可能性は十分あるでしょう。
そうした将来のことを視野に入れ、より取引内容とサービスの両面でカバー力の高い証券会社を選ぶことが大切です。
気になった証券会社が見つかれば、さっそく公式サイト&アプリをチェックしてみましょう。
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